source: TECS-SimpleSample/trunk/README.txt@ 38

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20120707 release

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RevLine 
[34]1TECS の Simple な Sample
[31]2
[38]3 2012年 7月6日
4 大山 博司
[31]5
6【ライセンス】
7
[38]8本ソフトウェアは、簡単なサンプルであり、個々のファイルにはライセンス条
9件を記載していませんが、TOPPERS ライセンスに準じます。License.txt を参
10照してください。
11
[31]12【概要】
[34]13
[38]14TECS のもっとも簡単なアプリケーションサンプルです。 exerb 版の TECS ジェ
15ネレータとcygwin だけで動作させることができますので、手軽に TECS を学ぶ
16ことができます。cygwin 上では exerb 版で動作しますので、Ruby や racc の
17インストールする必要がありません。
18Linux などの POSIX 環境でも動作するはずです。この場合は、Ruby インタプ
19リタが必要となります。動作環境の項を参照してください。
[31]20
[38]21【サンプルプログラムの概要】
22
234 つのプログラムの例が同梱されています。
24
25これらには、共通した tSimple, tSample というセルタイプが用いられていま
26す。これらのセルタイプは、すべての例で同じです。
27この例では Makefile の簡単さ優先して、tSimple.c, tSample.c には 4 つの
28コピーがありますが、diff を取ってみれば、同じであることがわかります。こ
29れはソフトウェア部品にまったく手を加えることなく、種々のバリエーション
30が可能になることを示しています。
31
32・SimpleSample … 直接結合版
33
34 最もシンプルで、最も入門的な例です。
35 tSimple と tSample の 2 つのセルタイプを定義しています。
36 それぞれのセルタイプに属するセル Simple から Sample へ、シグニチャ
37 sSample として定義された関数群を介して呼び出すことができます。コン
38 ポーネント図やもう少し詳しい説明が SimpleSample.cdl に記述されてい
39 ますので参照してください。
40
41 なお、タスクセルタイプ tTask は、cygwin (POSIX) 環境用に予め用意さ
42 れたものを用いています(後述の「cygwin_kernel について」を参照してく
43 ださい)。
44
45・SimpleSampleTrace … 直接結合の TracePlugin あり版
46
47 上記 SimpleSample に TracePlugin を適用した例です。
48 実行に伴って、関数の呼び出しに関するトレースが出力されます。
49 Simple と Sample の間に TracePlugin によって自動生成されたセルが挿
50 入されます。このセルにより、トレースの出力がなされます。
51
52 このディレクトリ下の SimpleSample.cdl を参照すると、TracePlugin の
53 使い方がわかります。
54
55 挿入されたセルのセルタイプは tTracePlugin_sSample という名前になり
56 ます。gen ディレクトリの下の tTracePlugin_sSample.c というファイル
57 を見ると TracePlugin により生成された sSample の関数の呼び出しのト
58 レースを出力するコードがあります。
59
60 以下の 2 つの例は、SimpleSample と言っても、だいぶ複雑になります。
61 初めて TECS に触れてみる方は、【動作環境】まで読み飛ばしていただい
62 た方がよいでしょう。
63
64・SimpleSampleTransparentRPC … Transparent RPC 版
65
66 上記 SimpleSample に RPCPlugin を適用して、Transparent RPC を実現す
67 る例です。
68
69 RPC とは、遠隔手続き呼び出し (Remote Procedure Call) のことで、呼び
70 元のセルと呼び先のセルが、異なるタスク上で動作します。TECS には
71 Transparent RPC と Opaque RPC の2種類がありますが、Transparent RPC
72 は、同じ RTOS 上の別のタスクで、それぞれのセルを動作させるのに向い
73 ています。
74
75 この例では Simple と Sample は異なるタスクで動作します。Sample が動
76 作するタスクのセルは cdl 上に現れていません。RPCPlugin により自動で
77 生成されます。RPCPlugin は、その他にも tDataqueue を使用する通信チャ
78 ンネルや、マーシャラ、アンマーシャラも自動生成してくれます。
79
80 マーシャラ、アンマーシャラは、タスク間の通信用のパケットの生成と分
81 解を行うもので、RPCPlugin は、それらのセルタイプとセルの両方を生成
82 します。マーシャラ、アンマーシャラのセルタイプは、対象となるシグニ
83 チャごとに相違するため、いわばオーダーメードの通信プログラムになり
84 ます。RPCPlugin は C 言語のプログラムも含めて生成します。
85
86 Transparent RPC は、メモリ対称なマルチプロセッサ間での通信に応用で
87 きます (しかし、現時点で TOPPERS/FMP に適用するサンプルは、ありませ
88 ん。近い将来実現されるでしょう)。
89
90 なお Transparet (透明) と Opaque (不透明) の違いは、メモリ透過性が
91 あるかどうかです。Transparent RPC ではメモリ透過性があり、ポインタ
92 を渡せば、渡された側はポインタを通して本来の引数にアクセスすること
93 ができます。一方、Opaque RPC ではメモリ透過性がなく、ポインタを渡さ
94 れても、本来の引数にアクセスすることができません。Opaque RPC では、
95 ポインタの指している先の本来の引数を渡す必要があります。その分
96 Opaque RPC のマーシャラ、アンマーシャラは複雑になります。
97
98・SimpleSampleOpaqueRPC … Opaque RPC 版
99
100 上記 SimpleSample に OpaqueRPCPlugin を適用して、Opaque RPC を実現
101 します。
102
103 SimpleSampleOpaqueRPC の cdl を見ると、上記の 3 つの例に比べて、少
104 し雰囲気が異なっていることが分かります。
105
106 まず、コンポーネント図上で TaskMain が加えられているのが相違します。
107 これは、呼び元の側で通信チャンネルをオープンするために追加されてい
108 ます。
109
110 cdl の内容としては、Simple と Sample が異なるリージョン (region) に
111 属している点が、これまでと大きく異なります。region はセルの配置を制
112 御するのに用いられます。と同時に、セルの名前衝突の回避にも用いられ
113 ます。
114
115 region rSimple と rSample は、独立したリンク単位 (linkunit) である
116 と指定されています。実際にこのサンプルをビルドすると、2 つの exe が
117 生成されます。2 つのセル Simple と Sample は、それぞれの exe に分か
118 れて動作します。
119
120 この例では、tSocket を使って 2 つのセル間 (つまりは exe 間) をつな
121 ぎます。OpaqueRPCPlugin は、コンポーネント図上に現れていない要素を、
122 すべて生成します。基本的には Transparent RPC の場合と同じですが、ポ
123 インタをそのまま渡すことができないため、マーシャラやアンマーシャラ
124 も異なるものになります。
125
126 この事例では、TECS RPC のエラー回復モデルを組み込んでいません。エラー
127 回復モデルは、実行の途中で通信エラーが発生した場合などに、適切な振
128 る舞いをさせるためのものです。tecsgen の test/opaqueRPC のサンプル
129 コードは、エラー回復モデルを含んでいます。
130 Opaque RPC に用いられる通信チャンネルは ethernet など、CPU やメモリ
131 などの信頼性に比べ、信頼性が劣ります。このため、実用的なアプリケー
132 ションとしては、通信途中でエラーが発生した場合、どのように対処する
133 か作りこんでおく必要があります。
134
135 この Simple Sample で利用する tecs_package にも Opaque RPC に関する
136 情報があります。これは TINET を用い skyeye 上で動作するように組み込
137 まれています。
138
[31]139【動作環境】
140
[34]141cygwin 上でビルドし動作します。2012.6.2 に発行された tecs_package
142(TECS ジェネレータ V1.1.0.4 を同梱) を用いてください。exerb 版を用いる
143ようになっているため、Ruby インタープリターは不要です。
[31]144
[38]145 exerb 版とは Ruby インタプリタと TECS ジェネレータが一体の exe 化さ
146 れたもので、Ruby インタプリタのインストールを必要としません。ただし
147 exerb 版は Windows 上でしか動作しません。
[31]148
[38]149以下の環境で動作確認しています。
150 ・cygwin 1.7.15
151 ・gcc 4.5.3
152 ・Ruby 1.8.7p358
153
[34]154Linux などの POSIX 環境でも動作させることができます。その場合 Makefile
155の TECSGEN_EXE を tecsgen.exe から tecsgen に変更してください。Ruby
1561.8 がインストールされている必要があります。Ruby 1.9 には対応しません。
157
158【準備】
159
[31]1601) ファイルの展開
161
162 tecs_package ディレクトリの直下 asp+tecs, tecsgen の並びに
[34]163 SimpleSample を置いてください。exerb 版を用いる都合上、tecsgen コマン
164 ド引数に与えるパスは、すべて相対パスで指定しています。
[31]165
166 tecs_package-+- asp+tecs
167 |
168 +- tecsgen
169 |
170 +- SimpleSample -+- SimpleSample
[34]171 (※) |
172 +- SimpleSampleTrace
173 |
[38]174 +- SimpleSampleTransparentRPC
175 |
[34]176 +- SimpleSampleOpaqueRPC
[31]177
[34]178※ svn の trunk のディレクトリの位置に対応します。名前は変更しても構いません。
[31]179
[34]1802) パスの設定
[31]181
[34]182 cygwin コンソールを開き、以下のような方法で set_env.sh 内の PATH 等を
183 取り込みます。
[31]184
185 % cd tecs_package/tecsgen
186 % source set_env.sh
187
188 exerb 版を使用するため、TECS ジェネレータのビルドは不要です。
189
[34]190【ビルドと実行】
191
[31]1923) 直接結合版のビルドと実行
193
194・ビルド
195
196 % cd tecs_package/SimpleSample/SimpleSample
197 % make tecs
198 % make all
199
200・実行
201
202 % ./SimpleSample.exe
203
[34]2044) 直接結合の TracePlugin あり版のビルドと実行
[31]205
[34]206 % cd tecs_package/SimpleSample/SimpleSampleTrace
207 % make tecs
208 % make all
[31]209
210・実行
211
[34]212 % ./SimpleSample.exe
[31]213
[34]2145) transparent RPC 版のビルドと実行
[31]215
216・ビルド
217
218 % cd tecs_package/SimpleSample/SimpleSampleTransparentRPC
219 % make tecs
220 % make all
221
222・実行
223
224 % ./SimpleSample.exe
225
226 実行後、サーバー側のタスクが終了しないため、プロセスが終了しません。
227 ctrl-C で終了させてください。
228 わかりにくいですが、Simple と Sample は異なるタスクで実行されています。
229
[34]2306) opaque RPC 版のビルドと実行
[31]231
232・ビルド
233
234 % cd tecs_package/SimpleSample/SimpleSampleOpaqueRPC
235 % make tecs
236 % make all
237
238・実行
239
240 2つの cygwin コンソールを使います。
241 1 つ目のコンソールでサーバー側を起動します。
242
243 % ./rSample/SimpleSample-rSample.exe
244
[34]245 次に 2 つ目のコンソールでクライアント側を起動します。
[31]246
247 % cd tecs_package/SimpleSample/SimpleSampleOpaqueRPC
248 % ./rSimple/SimpleSample-rSimple.exe
249
250 終了後、サーバー側のプロセスは transparent RPC と同様終了しないため、
251 ctrl-C で終了させてください。
252 Sample(サーバー) のメッセージが Simple(クライアント) 側で出力されます
253 が、これは out 引数で返されたものを表示しているためです。
254
[38]255【あさらい】
[32]256
[34]257ポイントは、各 CDL 内の tSimple, tSample の定義、セルタイプコード
258tSimple.c, tSample.c は、まったく無変更で 4 つのパターンに対応している
259ことです。再利用が図られることがわかります。
260
[31]261【次のステップ】
262
263うまく動いたら、次のステップとしてやってみることを記します。
264
265 ・シグニチャ sSample に関数を追加する
266
[38]267 まずは、この手順を理解しましょう。.c にも関数を加える必要があります。
268 以下のコマンドで追加された関数のテンプレートをマージすることができ
269 ます。
[31]270
[38]271 % tecsmerge gen/tSample_template.c src
272
273 tSimple.c には、追加された関数を呼び出すプログラムを追加する必要が
274 あります。以下を実行しても関数を呼び出すプログラムは追加されません
275 が、冒頭のコメント部に呼び口関数が追加されます。
276
277 % tecsmerge gen/tSimple_template.c src
278
279・シグニチャと、それを受け口に持つセルタイプを定義して Sample から結合
280 してみる
281 セルタイプコード (.c) も作成する必要があります。テンプレートコード
282 (gen の下の _templete.c) をベースにすることができます。
283
[34]284【cygwin_kernel について】
285
286cygwin 上で pthread を用いた tTask 等のセルタイプを用意していますが、
287テストドライバーまたはスタブであり、ほとんど機能は備わっていません。
288
Note: See TracBrowser for help on using the repository browser.